親の家を相続したものの、売却の流れや手続きがよく分からず、不安を抱えてはいませんか。
相続は、名義や相続人の確認、相続登記、遺産分割協議、税金の検討など、通常の自宅売却とは異なる段取りが多く、どこから手を付けるべきか迷いやすいのが実情です。
さらに、相続登記の義務化など制度の変更もあり、対応を後回しにすると、売却が思うように進まない可能性もあります。
そこで本記事では、相続した実家を売却する際の全体の流れから、必要な手続き、具体的なステップ、税金や特例までを順を追って分かりやすく解説します。
これから親の家の売却を検討している方が、落ち着いて判断しやすくなるよう、実務のポイントもあわせてお伝えします。

親の家を相続して売却する全体の流れ
親が亡くなり相続が発生すると、まず戸籍の収集や相続人の確定、遺言書の有無の確認など基本的な相続手続きから始まります。
そのうえで、相続人同士で遺産分割協議を行い、誰が親の家を取得するかを決め、合意内容に基づいて相続登記を行います。
登記名義を親から相続人へ変更した後、売却価格の目安を把握しながら売却活動を進め、売買契約と代金決済・引き渡しを完了するという時系列の流れになります。
このように、相続した実家の売却は「相続手続き」と「不動産売却手続き」が連続して進む点が大きな特徴です。
相続した実家の売却では、通常の自宅売却と比べて、相続人が複数いることが多く、遺産分割協議の結果に基づいて権利関係を整理する必要があります。
名義人が既に亡くなっているため、売却前に相続登記を済ませておかないと、売買契約自体が進められない点も重要です。
また、相続税や譲渡所得税など、相続を前提とした税負担や特例の適用可否を確認する場面が増えるため、通常の住み替えを目的とした売却よりも検討すべき事項が多くなります。
そのため、全体の流れを早い段階から整理しておくことが、スムーズな売却につながります。
近年は、相続登記の申請が義務化され、相続により不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から原則3年以内に相続登記を申請する必要があります。
義務化の対象は施行日前の相続も含まれ、正当な理由なく申請を怠った場合には10万円以下の過料の可能性があるため、売却を検討している場合も早めの登記が重要です。
また、相続した空き家を一定の要件のもとで売却すると、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)の特別控除を受けられる制度も設けられており、売却時期や条件によって税負担が大きく変わる可能性があります。
このような制度改正の影響を踏まえ、相続から売却までのスケジュールや手順を計画的に進めることが、経済的なメリットの確保にも直結します。
| 段階 | 主な手続き内容 | 売却への影響 |
|---|---|---|
| 相続発生から遺産分割 | 相続人確定・遺産分割協議 | 所有者と持分の確定 |
| 相続登記 | 名義変更登記の申請 | 売買契約締結の前提 |
| 売却活動から引き渡し | 価格検討・契約・決済 | 税負担と特例適用の確定 |
相続した実家を売却する前に必要な手続き
相続した実家を売却する前提として、まず誰が相続人にあたるのか、遺言書の有無、そして家と土地が相続財産として正しく把握できているかを確認することが重要です。
相続人の範囲は民法で決められており、戸籍謄本等を取り寄せて、配偶者や子などの有無を確認します。
あわせて、公正証書遺言や自筆証書遺言があるかどうかを探し、見つかった場合は家庭裁判所での検認手続きが必要になる場合があります。
さらに、不動産については登記事項証明書や固定資産税の課税明細書を取り寄せ、所在地や持分、評価額などを整理しておくと、その後の売却や税金の検討が進めやすくなります。
次に、相続人全員で遺産分割協議を行い、実家を誰がどのような形で取得するのかを決めることが必要です。
協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、全員が署名押印したうえで、不動産の相続登記を行います。
令和6年4月からは、不動産の相続登記の申請が義務化されており、相続があったことを知った日から3年以内に名義変更を行う必要があります。
相続登記申請には、被相続人の戸籍謄本や除票、相続人全員の戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書などが必要となるため、早めに収集を始めると手続きが円滑に進みます。
あわせて、債務の有無や不動産の維持費を確認し、相続そのものをどうするか検討することも大切です。
借入金などの負債が多い場合や、老朽化した家屋の修繕費・解体費、固定資産税などの負担が重いと見込まれる場合には、家庭裁判所での相続放棄や限定承認の手続きも選択肢となります。
相続放棄は原則として相続の開始を知った日から3か月以内に申述する必要があり、この期間内に財産と負債の全体像をできる限り把握することが求められます。
固定資産税については、市区町村から送付される納税通知書や課税明細書を確認し、相続後に誰が負担するか、売却までの期間にどの程度の費用が発生するかを整理しておくと安心です。
| 手続きの段階 | 主な確認事項 | 主な必要書類 |
|---|---|---|
| 相続人と遺言書確認 | 相続人の範囲把握 | 戸籍謄本一式 |
| 相続財産の把握 | 不動産の権利関係 | 登記事項証明書 |
| 遺産分割と相続登記 | 取得者と持分決定 | 遺産分割協議書 |
| 負担と債務の確認 | 税負担や借入金 | 課税明細書等 |
親の家を売却する際の具体的な手順とポイント
まず、親の家を売却する方法としては、一般的な仲介による売却のほか、時間を優先したい場合の早期売却など、いくつかの選択肢があります。
それぞれで売却価格や期間、手続きの手間が変わるため、相続人の事情に合った方法を選ぶことが大切です。
売却のスケジュールは、査定から契約、決済まで少なくとも数か月を見込むのが一般的であり、相続登記や遺産分割の状況によっては、さらに時間がかかる場合もあります。
このため、相続が発生したら早めに大まかな売却時期と進め方を検討しておくことが重要です。
次に、具体的な売却の流れとしては、まず不動産会社に査定を依頼し、売却方針と希望価格を整理します。
そのうえで媒介契約を結び、広告や内覧対応を行い、購入希望者が見つかった段階で売買条件の交渉と売買契約を締結します。
契約後は、買主の住宅ローン審査や引き渡し準備を進め、決済日に残代金の受領と同時に所有権移転登記、鍵の引き渡しを行うのが一般的な流れです。
なお、相続登記や必要書類の準備が整っていないと契約や決済が遅れるため、売却手続きと並行して登記関係の確認を進めておくことが欠かせません。
また、親の家が空き家になっている期間は、建物や庭の管理を疎かにしないことが重要です。
建物の老朽化や雑草の放置、郵便物の滞留などは、防犯面の不安や景観の悪化につながり、近隣住民とのトラブルの原因にもなりかねません。
そのため、売却が完了するまでの間は、定期的な換気や清掃、ポストの確認、庭木や雑草の手入れを行い、状況によっては専門業者への依頼も検討すると安心です。
さらに、長期化が見込まれる場合には、火災保険の補償内容や空き家に関する自治体の制度も確認し、万一に備えておくことが望ましいです。
| 段階 | 主な内容 | 意識したいポイント |
|---|---|---|
| 売却方法の検討 | 希望時期と価格整理 | 相続人全員で方針共有 |
| 査定・募集開始 | 査定依頼と媒介契約 | 売却条件と期限確認 |
| 契約・決済・引き渡し | 契約締結と残代金受領 | 登記手続きと鍵準備 |
| 空き家期間の管理 | 定期見回りと清掃 | 近隣への配慮と安全確保 |
相続した親の家売却で知っておきたい税金と特例
相続した親の家を売却する場合、相続税と譲渡所得税という異なる税金が関係します。
まず、相続時点では、相続財産全体の評価額に応じて相続税が課税される可能性があります。
その後、売却時には売却代金から取得費や譲渡費用を差し引いた譲渡所得に対して譲渡所得税等がかかります。
このように、タイミングごとに税目が変わるため、全体像を理解しておくことが大切です。
譲渡所得税の計算では、「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」で求めた譲渡所得に、所得税・住民税等の税率を乗じて税額を算出します。
取得費には、被相続人が当時支払った購入代金や仲介手数料、登記費用などが含まれますが、資料が残っていない場合には概算取得費として「譲渡価額の5%」とする取扱いもあります。
また、相続税を納めた場合には、その一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」を利用できる場合があります。
どの費用が取得費や譲渡費用に該当するかを整理しておくと、税負担の見通しを立てやすくなります。
相続した親の家が空き家となっている場合、一定の要件を満たせば「相続した空き家を売却した場合の3,000万円特別控除」の適用が受けられる可能性があります。
この特例は、被相続人が1人で居住していた住宅等を相続し、その後耐震改修や除却を行った上で、一定期限内に譲渡した場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。
適用を受けるには、相続開始の時期や建物の構造、売却価格の上限、耐震基準を満たしていることなど、細かな要件を満たす必要があります。
チェックシートやガイドラインを確認しながら、事前に条件に合致するかどうかを確認しておくことが重要です。
相続した親の家を売却して利益が出た場合、多くのケースで確定申告が必要となります。
その際には、売買契約書、登記事項証明書、相続関係を示す書類、リフォーム費用の領収書などを整理しておくと、取得費や譲渡費用を適切に計上しやすくなります。
また、前述の3,000万円特別控除や取得費加算の特例を利用する場合も、必要書類の不備があると適用を受けられないおそれがあります。
そのため、売却を検討し始めた段階から、税務面の条件と必要書類を早めに確認し、余裕を持って準備を進めることが大切です。
| 項目 | 主な内容 | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 相続税 | 相続財産全体への課税 | 評価額と基礎控除の確認 |
| 譲渡所得税 | 売却益への課税 | 取得費・譲渡費用の整理 |
| 特例・控除 | 3,000万円特別控除など | 要件確認と必要書類保管 |
まとめ
親の家を相続して売却するためには、相続人や遺言書の確認、遺産分割協議、相続登記など、通常の自宅売却よりも多くの手続きが必要です。
さらに、相続登記の義務化や税制の特例など、最新の制度を踏まえた判断も欠かせません。
当社では、相続手続きの全体像の整理から、売却方法の提案、税金面での注意点の整理まで、わかりやすく丁寧にサポートいたします。
「何から始めればよいかわからない」という段階でもかまいませんので、まずはお気軽にご相談ください。







